ごあいさつ

 

本日はご来場いただきありがとうございます。

 

ロンドンオリンピックの感動がまだ残っています。この発表会は2年に一度、1回おきにオリンピックと重なります。五輪選手と、発表会に臨む生徒たち、イヴェントの規模は桁違いですが、気持ちには近いものがあるかもしれません。

 

ヴァイオリン教師としての私は、立場はコーチの様なものです。各自のレッスンは基本的に週一回で、日々の練習には立ち会わないのに、どうしたら生徒を伸ばせるのか。運動選手とはまた異なる方法でのアプローチが必要になります。

 

昔と比べて忙しい子どもたち。時間がなくて練習ができないという言葉もよく聞きます。練習で大事なのは量よりも質であり、質の高い練習をするためには、耳と頭を使うことです。耳・頭の使い方を具体的な練習方法として教えることが私の役割であり、さらに大切なことは、弾いて楽しい!と感じ、うまく弾きたい!と目指す「心」を育てることだと考えています。

 

音楽の世界では、練習することを通して、さまざまな名曲に触れられるのですから、楽しさとも出会えるはずです。とはいえ、10歳くらいまでの子どもの場合、自分を律する事、集中力を持続したり毎日同じことを繰り返したりすることが苦手です。そこで必要なのが、ご家庭での愛情を伴う叱咤激励です。おけいこ事というのは精神修養でもあります。日々の練習で少しずつプラスを積み重ねていくことが、楽器の上達に限らず、広い意味の人間形成にも影響するのではないでしょうか。

 

それぞれの演奏が、2年間の練習の成果にふさわしいものになるよう、願っております。小さな演奏会かもしれませんが、惜しみない拍手をお願いいたします。